漢字一文字の旅 二巻 第一章より
八の五 【告】
【告】、小枝に神への祝詞を入れた器をつける形。
これより神へ告げ祈ることを言うとか。
こんな【告】、冬が明け、春を告げてくれるものたちがいる。
春告鳥は鶯(ウグイス)。
春告草は梅の花。
春告魚は鰊(ニシン)、鮴(メバル)、玉筋魚(イカナゴ)、魚偏に春の鰆(サワラ)などいろいろだ。
北海道、蝦夷地のソーラン節
♪ ニシン来たかとカモメに問えばぁ〜 ♪
三月になれば産卵のために北海道の西海岸にやってくる。
アイヌ語で「神魚」(カムイチェップ)、まさに待ちに待った尊い春告魚だ。
そして鮴(メバル)、古来からメバルと呼ばれ、毎年春を告げてきてくれた。
目がグリッと大きく、「眼張」と言われてきた。
淡泊な白身で、塩焼き、唐揚げ、そして煮付けと美味だ。
まさに春へと目覚まさせてくれる。
鰆(サワラ)は一メートルを超える大きな魚。
しかし、西京焼きなど美味い。
春に産卵のために沿岸へ寄るため、春告魚と呼ばれてきた。
このように【告】、いろいろなものたちが待ちに待った春を告げてくれる。
だからありがたく、この世も捨てたものじゃないのだ。
作品名:漢字一文字の旅 二巻 第一章より 作家名:鮎風 遊