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漢字一文字の旅  二巻  第一章より

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一の三  【輝】



【輝】は「光」と「軍」の組み合わせ。
「軍」は円陣をえがいた軍営。光の中心をまるくとりまいた「ひかり」だとか。
なにかもう一つよくわからないが、そこから「かがやく」となったそうな。

英語では「brilliant」(ブリリアント)。響きの良い言葉だ。
 You are always brilliant.
「あなたは、いつも輝いてるわ」
男として、一生に一度、好きな女性から言われてみたい。そんな言葉なのだ。

そして、話しは飛ぶが……
アフリカの最高峰は標高五、八九五メートルの「キリマ・ンジャロ」。

はいはいはい、「キリマン」…「ジャロ」ではないでっせ。
「キリマ」…「ンジャロ」ですから、ご注意を。

この「キリマ・ンジャロ」という言葉、実はスワヒリ語で、
「キリマ」が山で、なんと、『ンジャロ』が……なんと【輝く】と言う意味らしい。

そして、キリマ・ンジャロの麓では、
「あんさんがサバンナを駆ける姿、いっつも『ンジャロ』やわ」……と女性は囁くらしい。
これ、きっとホントだろう。

そして、そのキリマ・ンジャロの麓に、二十万年前に住んでた女性が、「ミトコンドリア・イブ」さん。
人間の細胞の中に、エネルギーを生み出す小器官がある。それがミトコンドリア。
そのミトコンドリアのDNAは、女性だけが代々引き継いで行くものなのだ。

したがって、その同じDNAで、母親の母親の母親のと遡って行くと、二十万前にキリマ・ンジャロの麓に住んでいた女性にぶち当たることになる。

だから、自分の母親の、その母親の母親……が、ミトコンドリア・イブさん。
その一人の母親から、今日の私たちがあるのだ。

一体どんな女性だったのだろうか?
興味があるところだ。
しかし、わかっている。

きっときっと【輝】いた女性。。
いやいや──、『ンジャロ』なレディ──だったのだ。