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漢字一文字の旅  二巻  第一章より

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一の二  【春】



【春】の元の字は

『 艸
  屯
  日 』 を合体させたもの。

つまり【春】は、これらを縦にぎゅっと圧縮し、一文字にした漢字。
そして、この中の「屯」、冬の間草の根が閉じ込められた形だとか。これに日があたり、今にも草の芽をふき出そうとしている。
そんな意味から【春】となったようだ。

枕草子の中で、清少納言は綴った。
【春】はあけぼの。
やうやうしろくなりゆく山ぎはすこしあかりて、むらさきだちたる雲のほそくたなびきたる。

要は、【春】は日の出はまだだが、ほのぼのと明けてきた頃、あけぼのの時間帯が趣がある……ということだ。
確かにと思うが、眠いのでめったに眺めることはない。

そして、こんなメロディ、誰しも一度は聴いたことがあるだろう。
♪ ちゃんちゃんちゃちゃーああ ♪
♪ 「いて」、ちゃんちゃんちゃちゃーあん ♪

うん? これではわからないか。
で、答えは……微かに「いて」が入るヴァイオリン協奏曲『四季』の【春】だ。

 確かめたい御仁はこちらへ。
 youtubeの『四季』/【春】で検索。
 http://www.youtube.com/watch?v=eXXbtZ1wcqM

それは三つの楽章から構成され、
アレグロ(陽気に)→ラルゴ(ゆるやかに)→アレグロ(陽気に)、と春らしく続く。

そしてソネット(Sonnet)、それには十四行詩のが添えられてある。
だが、不思議なことだが、ネットにこの詩が多く和訳されているが、元の十四行になっていない。どこかにいくつかの行が飛んで行ってしまってるのだ。
ならばということで、
今回、原文と他の日本語訳を参考に、意訳してみた。

1   春がやってきた、陽気に
2   小鳥たちがチッチと歌ってる、春よ、ようこそと
3   小川はさらさらと、そよかぜに
4   せせらぎを優しく揺らしてる、そしてそのうちに
5   空は真っ黒な雲に覆われつくし、雷鳴がどどどーんと轟く
6   それは春の訪れの告知
7   やがてやっと嵐は去り、小鳥たちがふたたび
8   チッチと楽しく歌う

9   花が乱れる牧場では
10  葉のざわめきがララバイに
11  羊飼いが犬を枕に、まどろんでる

12  妖精たちも牧童も
13  キラキラと、春の光りを満身に
14  バグパイプの音色に、思わず踊り出す

これがヴァイオリン協奏曲『四季』の【春】のイメージだ。
うーん確かにと、数えてみたら……十四行だよ〜ん。

そして、【春】
それはアレグロ(陽気に) → ラルゴ(ゆるやかに) → アレグロ(陽気に)の繰り返し。
そのため、心地よいということになるのだ。