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漢字一文字の旅  二巻  第一章より

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六の二  【株】



【株】とは、木の根に近い部分。
地中を根と言い、地上のものを【株】と言う。そして木を切った後、【株】はずっとそこに残る。

この残るということから、世襲で継続的に保持される地位や身分を【株】と呼ぶようになった。
ここから【株】式会社となり、【株】式市場と意味が広がった。
英語で【株】のことを「stock」と言うが、「蓄え」の意味があり、「残り」となにか似通ってるような気がするから不思議だ。

そんな【株】式市場、「天井三日、底三年」、また「山高ければ、谷深し」などの格言が多くある。
その中でも、ウォール街の投資家・ジョン・テンプルトンはいみじくも言った。

【強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観と共に成熟し、幸福のうちに消えて行く】
(Bull market are born on pessimism, grow on akepticism, mature on optimism, and die on euphoria.)

まさに株式市場に対しての諸行無常、輪廻の世界観だ。
うーん、なるほどと納得してしまう。

と、感心してみても……
日本の株式市場ではバブル崩壊後強気相場は生まれていない。「悲観」が20年間以上も続いているではないか。

しかし、ここはことわざの「辰巳天井」。辰年/巳年は株が上がると言われている。
やっと巡り来た千載一遇のチャンスなのかも知れない。
期待したい。

ことほど左様に、【株】とは、悲喜こもごもの思いを抱かせてくれる漢字なのだ。