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漢字一文字の旅  二巻  第一章より

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六の一  【雉】



【雉】、キジは矢のように飛ぶことから左に「矢」が付くとか。

キジは日本特産、桃太郎などの童話に出場する。勇気と母性愛の象徴だ。これらのことより日本の国鳥となっている。
だが、そこまでリスペクトされているにも関わらず、古くからよく食されてきた。

「雉も鳴かずば撃たれまい」
翼を打ち鳴らしながら「ケーン、ケーン」と甲高く鳴く。これで猟師に気付かれて、鉄砲で撃たれることになる。

一方、「焼野の雉子 夜の鶴」(やけのきぎす よるのつる)ということわざがある。
ここで言う「雉子」(きぎす)は【雉】の古名。
野を焼かれても、【雉】は身の危険も顧みず子らを救う。また寒い夜、鶴は翼で子をおおって暖める、こんな意味だ。
とにかく【雉】という鳥は、子を思う親の情が深いのだ。

そんな【雉】、最近は養殖されるようになってきた。
だがまだまだ野生の鳥であり、四、五、六月の三ヶ月しか産卵しない。そして発育も遅い。ブロイラーに比べ成長まで十倍の時間が必要だとか。
それでも美味なことから鋭意改善され、一般人でも容易にその肉が手に入るようになってきた。

【雉】は吉兆の鳥、きじ鍋でも味わえば、嬉しいことに福が舞い降りてくるような気がする。
しかし、【雉】は国鳥、また桃太郎に出てくる、その上に子への情が深い鳥となれば、食すのに少し抵抗感が生じるのは仕方ないことだろう。

そんな【雉】、ちょっと割り切れない漢字なのかも知れない。