漢字一文字の旅 二巻 第一章より
十七の四 【網】
【網】、「糸」に右部は「あみ」の象形だとか。
こんな漢字のことわざ、「天網恢々疎にして漏らさず」
この「恢」(かい)は「心」に「灰」、元はうつろな気持ちの意味であったが、広くてゆったりしていることらしい。
天に張られた【網】は粗い。しかし、小さな悪事でも見逃さない【網】だ。
そんな【網】、英語では「net」。現代社会ではインターネットだ。
このネットに老若男女、みんなが嵌まってる。
そして行き着く先がインターネット中毒、あるいはネット症候群と患い、社会問題にもなっているようだ。
何を隠そう鮎風も典型的なネット中毒。
パソコンの前に座ること、毎日平均六時間は超える。
連れ合いと過ごす時間より長い。もうネットなしでは生きて行けない。
こんな人生、幼い頃思い浮かべたことはなかった。だが今はネット命なのだ。まるで奴隷のように。
そんな【網】、かって鳥獣を捕獲する、かすみ【網】があった。
細い糸で作られた【網】であり、飛んできた野鳥はそれに絡む。
当然そこから逃れるため羽ばたこうとするが、細い糸のため反力は得られない。そして力尽き、逆さ吊りとなり、喀血により死に至って行く。
残酷過ぎて、現在は禁止されている。
いずれにしても【網】、今はネットとなり、かすみ【網】以上に残酷なものになりつつあるのだ。
作品名:漢字一文字の旅 二巻 第一章より 作家名:鮎風 遊