漢字一文字の旅 二巻 第一章より
十七の五 【氷】
【氷】、氷が凍ってる象形。しかも水の流れの中で二個の氷がある形だとか。
えっ、どこに氷が? と叫びたくなるが、左部の「ヽ」と「フ」がその二つの氷……だそうな。
「そうなんだ」と呟き、あとは何も言えず、黙るしかない。
そんな【氷】、夏場はやっぱり──かき氷。
童謡の金太郎は
♪ まさかりかついで 金太郎
くまにまたがり お馬のけいこ ♪ ……と歌う。
この金太郎、足柄山で熊と相撲を取ったりして大きくなり、源頼光の四天王の一人の坂田金時となった。
そして丹波の国、大江山(現在京都府福知山市)の酒呑童子(しゅてんどうじ)を退治するなどの大活躍をした。
この坂田金時は真っ赤な顔をしていた。
そこから赤い豆、すなわち小豆(あずき)は金時となった。
こんな金時を宇治茶とコラボさせ、かき氷に。
宇治金時の出来上がりだ。
まさに暑さを吹っ飛ばしてくれる。
宇治金時のかき【氷】、
その【氷】の「ヽ」と「フ」は……ひょっとすれば小豆に宇治茶の形に見えてくるから不思議だ。
作品名:漢字一文字の旅 二巻 第一章より 作家名:鮎風 遊