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漢字一文字の旅  二巻  第一章より

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十七の三  【鮪】



【鮪】、この字は元々中国で大きな魚、チョウザメのこと。
その後、日本にこの字が入り、大きな魚であるマグロとなったとか。

マグロの語源は目が大きく黒いから「目黒」(まぐろ)。
または大きく黒い魚で「真黒」(まぐろ)……のようだ。

そんな【鮪】、ちょっと複雑で、スズキ目、サバ科、マグロ属だとか。一体本性はどれなんや? と尋ねたい。
そんな質問に──黒いダイヤだよ!──と名答が返ってきそうだ。

全長3m体重400Kgのクロマグロ、こんなドデカイ黒ダイヤ、一度でいいから手に入れたいものだ。

されども、そんなマグロ、辛い宿命を背負っている。
なぜなら、えら蓋をパクパク動かすことができない。
そのため海水の酸素を取り込むために、いつも口は半開き。水が口内に入ってくるよう、一生泳ぎ続けなければならないのだ。
同情の極みだ。

さらに不幸なことに、寿司ネタにするため捕獲され続け、絶滅危惧種に指定されそうだ。
そこで業深い人間が思いつくのが、黒ダイヤの養殖。それも卵から成魚まで育てる完全養殖。
しかし、これがなかなか難しい。

巨体が悠々と遊泳できる大きなスペースが必要。また成熟に時間が掛かること。
さらに皮膚が弱く、小さな傷でも死んでしまう。
これらの難点を乗り越えて、商業ベースにやっと乗りつつあると言われている。

舌の上でトロッととろける黒いダイヤ、トロを思い切り食べられる日はそう遠くはないようだ。