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アイラブ桐生 51~53

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 結局、源平さんは一人勝手に、
そんな風に話をまとめてしまいました。
突然、降ってわいたてんぷら修業の話です・・・
私が何か言おうとする前に、順平さんに止められてしまいました。



 「前々から源平には、頼まれていたことだ。
 何か役に立つ仕事のひとつでも、仕込んでおいてくれってな。
 そう言う奴だこいつは。
 京染めや金箔仕事じゃ食えないが、板前仕事ならどこでも食える。
 いつまでも、ホテルのボーイじゃ仕方がなかろうに、
 第一、春玉が可哀想だと、いつも事あるごとに、
 こぼしていたさかい


 そのひとことを聞いた瞬間に、
口元にまで盃を運んでいた源平さんが思わず、
大きく咳こんでしまいました。



 「おいっ。それは俺たちだけの話だ。
 まったく余計なことを言う。
 まだ、こいつには内緒の話だろう。
 余計なことまで言うなよ、
 とうへんぼく。」

 「あれ・・・・内緒かいな?
 お千代さんも、来るたんびにいつもそう言っていたし。
 俺はてっきり、もうこいつも知っている事なのかと
 勝手に思いこんでいた・・・・」


 「ほれみい、お前はひとことが多すぎる。
 余計なことは言わずに、黙って
 天ぷらだけを揚げていればええもんを。
 ほらみろ。こいつに、すっかりと全部ばれちまった。」


 「それならそうと、
 最初から俺にも、ひとことを言っておけ!
 お前も肝心なところで、いつも一言が足りねえ。
 だから、いつも話がややこしくなる!
 言っちゃいけねえのなら、
 ひとことクギくらいさしておけばいいのに!」

 「上等だ、このやろう・・・・。
 同級生だと思うから優しい口をきいてれば、逆切れをしゃがって。
 この野郎、ただではすまさないぞ!」


 まぁまぁと、
今度はこちらが止めに入る番になってしまいました。
この同級生コンビは、単純で典型的に熱しやすく
冷めやすいという呑み友達です。
気心が知れているだけに、些細なことでいつも
こんな風に熱くなります。

作品名:アイラブ桐生 51~53 作家名:落合順平