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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「哀の川」 第三十二話

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「マスター・・・僕は小学生の頃から杏ちゃんに親切にしてもらって一緒にも暮らしていたんです。何処へ行くのも一緒でね。母も羨ましがるほど他人なのに仲良くしてくれて。ロンドンで病気になったときもずっと傍で看病してくれていたし。僕は杏ちゃんのこと伯母と言うだけでなく、何かより強い親しみの感情を持っていたんです。だから、直樹父のことも聞きました。若い頃弟のパパが好きだったと言うこと・・・複雑な気持ちになりましたが、なんだか解るような気がしていました。きっと父に感じた感情に近いものを僕にも注いでくれていたんだと思います」
「そうか、そういう関係だったのか。杏ちゃんは思いつめたら一途だったから、直樹君にも真っ直ぐだったなあ・・・僕が見ても危険だったから。純一君への愛情も止まらなくなっていたら、大変だったね。この前来た時に、何か二人にはあるって感じられたから・・・そうだったのかい」
「マスター、ここまで話しましたから、一度杏ちゃんに話してくれませんか?ゆっくり話したいって・・・電話してくださいよ。これ携帯の番号ですから・・・」
「純一君・・・気が早いなあ、まあいいか、キミのその気持ちを酌んで、話だけでもしようか・・・」

マスターは自分の携帯から電話をかけた。
「杏ちゃんか・・・オレだよ、解るかい?」
「マスターよね?どうして携帯が解ったの?」
「それは内緒だ!それより今度こちらへ来たらゆっくり話さないか?俺がそちらへ行っても構わないけど・・・なあ、どうだ?」
「構わないけど・・・どうしちゃったのよ。変なこと考えてないでしょうね?」
「考えているかも知れないぜ!びっくりさせるようなこと、ハハハ・・・」
「そうよね、きっと笑わしてくれそうな感じよね。今忙しいから、店終わったらこちらからかけ直すよ、構わない?」
「ああ、何時でもOKよ。じゃあ、待ってるから」

マスターは純一の傍に来て、ありがとう!と言った。どうなるか解らないけど、お互いに力になれる関係に成れたら・・・って思うよ、と笑顔で話していた。