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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「哀の川」 第二十九話

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夕食は以前に直樹が麻子を紹介したときに訪れた六甲山のホテルのレストランでしようと祖母は言った。その時のことは麻子もしっかりと記憶に残っている。純一と由佳にその話を直樹はした。

「おじ様、素敵ですわ!おば様とロマンチックな夜になったんですね」
「由佳さん、良く分かるね。大人じゃないか、なあ麻子」
「そうね、純一の彼女にしておくのが勿体無いぐらい可愛いし」
純一は嫌な顔をして食いついた。

「母さん!それは無いよ!言いすぎじゃない?それを言うなら、父さんだって言われちゃうよ、違う?」
「おいおい、飛び火させるなよ!お互いにお似合いだってことだから、関西ノリだよ?なあ、麻子」
「そうね、あなたみたいにきついノリを言ってみただけ・・・お似合いよ、二人は」
「話はそこまでにして、さあ、出かけようか?」
義父はみんなの重い腰を上げさせた。

車は少し西宮方面に戻り、山手に入ってホテルに向かった。夕暮れと共に海が茜色に染まり散りばめられた街の灯がポツンポツンと眼下に見渡せるようになってきた。駐車場から降りて、景色を眺める純一と由佳は、あの日の直樹と麻子のように、その美しさと自分達の出逢いを重ねあって、自然に寄り添うようにしていた。直樹は純一のその仕草に、遠い日の自分を重ねて映し出していた。麻子との恋愛が、やがて結婚に変り、純一が自分の子供のように感じられる今、目の前の二人が絶対に幸せになって欲しいとその想いを麻子に伝えた。