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てっしゅう
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「哀の川」 第二十九話

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西宮インターを出て2号線に向かう道の左側に品川ナンバーのゴルフは停車していた。純一を乗せた祖父の車はその前に停車させ手招きして、着いてくるように支持した。国道2号線を三宮に向かい、やがて新築の家に無事着いた。

ゴルフから降りてきた由佳は、流行のミニスカートに可愛いピンクのアンサンブルを着ていて、純一にはすごく大人に見えた。麻子の見立てであろう事には気付かず、そのセンスを褒めた。
「おば様に買っていただいたのよ。気に入ってるのよ、可愛い?」
「ああ、すごく可愛いし似合っているよ。急におとなっぽくなったね」
「うん、ちょっと背も伸びたし、胸も大きくなった・・・成長が遅かったのかしら、ハハハ・・・」
「おいおい、言うね。母さんたちとは仲良くやっていてくれているようで、ありがたいよ。心置きなくこちらで勉強が出来る」
「そうそう、中に入ったら渡すけど、母からプレゼントがあるのよ。楽しみにしててね」
「へえ~キミのお母さんから・・・なんだろう、気を遣って貰えるなんて嬉しいね」

話はそこまでにして、皆は中へと入っていった。祖母も待ちかねたように笑顔で迎えた。久しぶりに親子と孫と揃った斉藤家になっていた。
「杏子が居ればなあ・・・」祖母が言った。祖父はちょっと困った顔をして、直樹のほうを見た。直樹は何も知らない。どうしたのという表情しかしなかった。祖父は少し安心した。