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宇宙列車 私の夏休み

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上空100キロ以上、私たちは宇宙空間に達した



 前方にあるモニターをみると、雲に覆われた海がかすかに見える。私たちが泊まったモルジブシティは徐々に小さく見え、その周囲にある海に浮かぶ巨大な太陽電池も小さく見える。

 それから2時間後、高度400キロに達した。スペースシャトルや国際宇宙ステーションの軌道と同じくらいの高さに私たちがいる。
「とても静か。列車がほんの少しだけ揺れている」
「なんだか不思議な気分。延々と高層ビルのエレベーターに乗っているみたい」
「ちょっと気もち悪いわ。乗り物酔いのようで」
「大丈夫?酔い止めの薬があるわ」

 私たちは興味本位で個室のドアを開けた。乗車時には何の疑問を感じることなく個室に入れたが、私たちの個室のドアは天上側にある。垂直に列車が登るとき個室が90度傾いたから。ドアへの踏み台を足にかけて上り、手動でドアを開けて通路を見た。
「何なの!この高さは!下を見ると怖いわ」
「私たちの個室は、この車両の先頭にあるから」
「高さ25メートルもあるのね。学校のプールと同じくらいの長さなの」

 私は通路を見ると、私たちの個室は高いところにあることを実感した。
「なんだか下を見るのが怖いわ。この車両の後方に吸い込まれそうで」
私たちはドアを閉めて、もとの場所に戻った。

「外は真空だけど、かすかに揺れているわ」
「たぶんリニアモーターを動かす超伝導磁石にもムラがあるから」
 私は外の景色を見て感動した。無数の星々が輝いている。田舎で見る星よりも多い。空気圧の影響で星がキラキラ光るのではなく、全ての星が一定の明るさで輝いている。
「窓を見て星がとてもたくさんあるよ」
列車はかすかに揺れている。着実に静止衛星都市に向かっている。

 南先生から指示があった。
「みなさん。おめでとうございます。宇宙空間に到着しました。万が一、スペースデブリや隕石が宇宙エレベーターが衝突する可能性があります。そのとき列車は降下用シャトルまで移動します。個室の扉を手動で開け、通路を降りるとき、必ず命綱をつけて降りてください」
「私たち地上にいるときと同じように立っていられるのよ」
「でも、徐々に地球の重力の影響がなくなれば最終的に無重力になるのね」
「先生、無重力になるには、あとどのくらいですか?」
「静止衛星都市に到着しても地球の重力圏にいますが、重力はかなり弱くなります。地上のように歩行するのが困難だと思います」

 私たちは、列車の窓を見つめた。丸くみえる地平線に雲が流れ、その下には青い海が太陽の光で反射している。

作品名:宇宙列車 私の夏休み 作家名:ぽめ