宇宙列車 私の夏休み
人工島、多くの人たちの人生がつまっている
私たちを乗せた宇宙列車は、時速200キロでリニアモーターの力で上昇している。徐々に重力が弱くなる。宇宙放射線の問題もある。
狭い部屋に閉じ込められているので細かいことに対して我慢できなくなりストレスがたまる。感情が爆発しそうになる。その時、担任の南先生は、私たち宇宙旅行に行く生徒たち20人の相談をすることになった。
モニターの画像を地球に向けると、延々と伸びる宇宙エレベーターが見える。その下にあるのが、かつて1000万人もの人が住んでいた大都会であり、さまざまな国の人たちが、共存し、いろんな人生があった。仲良くしたり喧嘩したりしたと思う。宇宙エレベーター建設に、世界から10万もの企業が参加していた。世界各地では何億人の人たちが、建設資材である『安全なカーボンナノチューブ』を生産した。問題視されたのが、アスベストと同じように、細かいチリが人間の肺に入り、健康を害する問題があった。大量生産をするために、さまざまな試行錯誤を繰り返した。
それでも多くの困難を乗り越え、80年以上の時間をかけて宇宙エレベーターは完成した。人工島には最盛期には1000万人もの人たちが暮らしていた。直接建設に関係なくても、さまざまな仕事で働き、その収入で生活し、人工島で一生を過ごした。
とても幸福な人生を送った人もいたと思うし、逆に悲惨な人生で送った人もいる。人工島から去って別の国に仕事を求めた人たちもいる。
当初、私たち3人は仲良く過ごしていた。狭いところにいるために、窓の扉を開ける開けないとか、洗面所を使う順序、浴室のシャンプーの置く一などが気になり出した。地上では何でもないことが宇宙空間では、大きな問題となる。
「多惠、イライラしないで」
「別にイライラしていないわ!」
多惠の口調がきつい。私はムッとなった。
「そんなきつい言い方しないで」
「なんなの!」
私は機嫌を悪くした。多惠の顔を見たくないので、後ろにあるトイレへ閉じこもった。それが、かえって気まずくさせた。
「さっちゃん!何しているの?いつまでトイレに入っているの?私、トイレに入りたい時には入れないのよ!常識で考えて!」
私は美沙と口論した。
3日目の午後3時、モルジブ上空は明るい。窓からまぶしい光が入る。
私は窓の扉を閉めた。
「何しているの!せっかく星空と地球の美しい景色が見られるのに」
窓の扉を開けた。
「外がまぶしいのよ」
「それだったら、窓ガラスから入る光を調節すればいいじゃないの。ここにスイッチがあるし」
ひじょうに単純なことで、私たちは喧嘩をするようになった。
作品名:宇宙列車 私の夏休み 作家名:ぽめ