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せき あゆみ
せき あゆみ
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海のたより

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──祭り囃子──



お盆をすぎると、夜の路地から笛や太鼓の音が聞こえるようになります。
家にいて、あるいはちょっと外に出たとき、かすかに聞こえてくるその音に耳を傾け、『ああ、もうすぐお祭りがくるなぁ』と思うと、なんだか急に寂しいような哀しいような気持ちになります。

ですが、わたしはお祭り当日よりも、その感覚が好きです。
この街の秋祭りは9月13日〜15日までの3日間。御輿のでるのが13日で、15日には、御輿を船に乗せて湾内を一周する『舟渡し』で盛り上がります。

そして、市内の主だった町内のK町・N町・S町とI地区からは屋台や山車がでて、お囃子の競演をします。

そのお囃子の練習がお盆が終わると始まるのです。

夜7時ころから、バチを抱えた子ども達がそれぞれの練習場へ走っていきます。ある地区は商店の店先、ある地区は神社の社務所で行われます。
祭り囃子は軽快な節回しで、笛は大人が吹きますが、太鼓は子ども達が交替でたたきます。

残念ながら、我が家の息子達はちっとも興味を示さず、せっかく地区の山車があるというのに、その上でバチさばきを披露することもなく、今に至っていますが。お祭りの好きな子ども達は、われ先にと太鼓の練習に駆けつけます。

このお囃子は、どの地区もほとんど同じものを披露するのですが、地区ごとに微妙に違います。

K町はゆっくりとおおらかな感じ、I地区はテンポが早く力強い感じ、というふうに。
屋台、あるいは山車の上で演じる囃子方の構成は、大太鼓(大ドウ)1,小太鼓(ツケ)4,鉦2(もしくは3〜5),笛5人ですが、もとは小太鼓は2人だったそうです。

このお囃子がいつ頃から始まったか、またどこから伝わったのかは定かではありませんが、250年前に原型はできていたようです。

お囃子を伝承しようとするグループが昨年でき、その代表の方にお話を伺ったところ、I地区は舞を奉納するためのお囃子がはじまりで、ほかの地区は祭りの演目として始まったらしいと言うことでした。

このお囃子は、大きく分けて7曲あり、それがまた別れて23(あるいは24とも)項目の演じ方があるそうですが、現在祭りで披露される曲目は、2曲5項目〜3曲だそうです。

もともとは全員大人が演じていたのですが、明治時代の終わり頃から、大人だけでは足りなくなり、子どもも囃子方に加わるようになったそうです。しかしながら、現在は少子化のため、その子どもたちも減っているので、伝承していくのが難しい状況です。


作品名:海のたより 作家名:せき あゆみ