小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

ヘリテイジ・セイヴァーズ-未来から来た先導者-(後半)

INDEX|8ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 

エピローグ 夏の始まり



 翌日。
 夏休みが始まった。
 澄み渡る海のように穏やか空。
 昨日の出来事がまるでなかったかのように、虫たちは鳴き、平和を感じさせる。
 この男、以外は―
「―ったく、せっかく見舞いにきてやったのに、パチン、と平手打ちするほどのことでもないだろ」
 手のひらの跡ができた右頬を擦りながら、光大は病院をでていく。
「ふふふ、そうかもな」
 その光大を笑いながら、乙姫が見つめる。
「あのなぁ・・・・・・その原因を作ったのはおまえなんだぞ。自覚あるのかよ・・・・・・」
「なんだ!?私のせいだと言いたいのか!?」
 ―全くだ。光大はそう言いたくてしょうがなかった。彼女のせいで、花楓があんな態度に・・・・・・。

 あの事件が終わった後、火の四聖神が正気に戻ったのからなのか、火が消えてしまったという。
 消防士もかけつけたのだが、その時点で消化困難な状況だったのに、何もせずに消えてしまったことに驚きを隠せなかったようだ。
 光大と乙姫は、家から脱出した後、警察にコテンパンに叱られたが(なぜか葦貴は対象に入らなかった)、「あの子たちは私の娘を助けてくれた恩人です! それなのに、なぜあなた方は助かる命を見捨てようとするのですか!?」という、花楓の母親を始めとする、たくさんの島の住人たちによる反転攻勢により、警察から軽く注意を受けるだけで済んだ。
 団地に住んでいる者たちは、宮島総合文化高校の講堂で、しばらくは過ごすことになった。もちろん、葦貴も。
 しかし、花楓は、背中のやけどと心労により、港の近くにある病院にしばらくの間入院することになった。
 それで、お見舞いに行ったのだが・・・・・・。

 花楓は、病室に入ってくる、自分よりも明らかに品格の違う、お嬢様のような容姿である、乙姫に驚愕する。
「あ・・・・・・あなたは・・・・・・」
 思わず乙姫に指をさしてしまう。
「なんで驚いているのだ? おまえを助けたのはこの私だぞ」
「あ!」
 不思議そうに花楓を見つめる乙姫の存在を、彼女は思い出す。部屋中に火が燃え上がって、
何処にも逃げ道がない中、窓ガラスを突き破って、助けたような。
「あの時の・・・・・・!」
 乙姫は、ふぅ、一息ついて、
「ようやく思い出したか。まあ、疲労困憊状態だから、うろ覚えになっているのも無理はないが・・・・・・」
 と、肩をすくめる。
「わわわ、ごめんなさい!」
 顔を下にして、慌てて花楓は謝る。
「ははは、謝ることはないさ。とにかく、生きていて良かったよ」
 乙姫は、笑いながら、怒ってない素振りを見せる。
 彼女に笑われて、花楓は思わず顔を紅くする。
「まあ、おまえが相変わらずだってことが良かったよ」
 微笑みながら、光大は花楓を見つめる。
「それはいいけど・・・・・・」
 花楓は乙姫と光大をキョロキョロ見つめる。
「?」
 乙姫は、花楓の素振りを不思議そうに見つめる。
 そして、焦ったように、
「こ、コウちゃんは、こ、この子と・・・・・・ど、どんな、関係、なの?」
 と顔を赤らめて訊ねる。
「え?」
 思わず、乙姫の顔を見つめる光大。
 そして、意識したのか、顔を赤らめ、慌ててしまう。
「え、え、ええっ!?そ、それは・・・・・・ねぇ」
 横目で乙姫をちらっと一瞥する。
 乙姫は顎を手に当て、少し考えて、
「ふむ、一言でいえば―パートナーだな!!」
 わわわわーーーーーーっっっ!!!!
 そ、そんな曖昧な発言をしたら、誤解を生むって!
 案の定、光大が想っていたことが、現実のものになる。
「こうちゃん・・・・・・ど、どういう、こ・と・・・・・・?」
 静かな怒りが―病人のくせに、獄炎がメラメラと燃え上っているのが視える。
「ま、まて・・・・・・」
 そして、二日連続の鉄槌が―。