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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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ヘリテイジ・セイヴァーズ-未来から来た先導者-(後半)

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「―ったく、そんな曖昧な発言するから、こんな目に合ってしまうんだよ!」
 指をさしながら、光大は反論する。
 そして、もう~、と頭を抱え込んでいる彼を、乙姫はしれっとした態度で、
「私は当然のことを言ったまでだが? なに、これから居候するってことは言っていないからいいじゃないか。おまえは、あいつのことが好きなのか」
「べっ、べつに・・・・・・」
「じゃあ、私の言っていることは真実じゃないのか」
「うっ・・・・・・」
 逆に乙姫に正論を言われ、光大は動揺してしまう。本当に二歳年上だから、口答えもしっかりしている。これで、本当にタメで自然と話せることが不思議だ。
「・・・・・・っていうか、今、さらっと居候とか、言わなかったか?」
 光大の問いに、乙姫は頷き、
「ああ。これからしばらくはコータの家に居候するつもりだ」
 それを、光大はもう一度、
「ま、マジ?」
「マジだ」
 ・・・・・・。
 二人の間に沈黙がしばらく漂う。
 そして、
「えーーーーーーっ!?」
 ようやく反応。
「反応が遅すぎるぞ」
 乙姫はそれは道理だ、と言っているかのように、肩をすくめる。
「はぁ~、親にどう説得すればいいんだぁ~」
 額に手をあて、ハァ~、とため息をつく。悩みのタネがコイツといい、花楓といい、植える一方だ。
「ははは・・・・・・まあ、いいじゃないか。これから忙しくなるんだし、一緒にいた方が都合がいいだろ」
 笑いながら、背中をポンと叩く。
「クールな割には、物事を楽観的に見れるおまえが羨ましいよ」
「うん、そうか? 私は、合理的に考えるだけだが・・・・・・」
「合理的すぎるよ」
 光大は、悲しそうに彼女の背中を見つめる。
 口でも勝てないから、もはや彼女の良いように使われる僕(しもべ)状態。彼女はまさに品格に合った、お嬢様。
 この関係で大丈夫なのか、少々不安だ。
 でも、やるしかない。
 立ち上がるきっかけを作ってくれた彼女―佐伯乙姫のためにも。そして自分のためにも。
 この現実に立ち向かうために―この島にいる大切な人、風景を守る『夢』向かって、光大は、彼女を追いかけていった。
 慌ただしく、一生忘れられない、光大の最後の夏休みが始まる―。

《ヘリテイジ・セイヴァーズ―未来から来た伝導者― 了》