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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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ヘリテイジ・セイヴァーズ-未来から来た先導者-(後半)

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「つ、着いた」
 光大は火事現場へと辿りつく。火は、一列に立ち並ぶ家をすべて焼き尽くしている。
「ひでえ」
 思わず声が漏れる光大。
 一列に連なる家と家の間にある小さな道の手前で、そこに住んでいる住民だろうか、パジャマ姿で家が焼けていく惨状を見つめている。その中を光大は、「すいません、通ります」と言いながら、かき分けて最前列へと進む。
 警察が、せっせと虎ロープでその道を封鎖している。その中で、
「花楓ーーーーーーっ!!」
「お、落ちついてください!!」
 花楓の母親が必死になって、警察の者たちの壁を壊そうとしている。
 しかし、止められてしまう。
「おばさん!」
「こうくん・・・・・・」
 花楓の母親は涙ぐんでいる表情で、光大を見つめる。
「花楓がどうかしたの!?」
「花楓が・・・・・・あの子がまだ、家の中に・・・・・・うわあぁぁーーーーーーっ!!」
 花楓の母親はその場で泣き崩れた。母親がこんなにもなっているのに、まだ消防車はこない。そして、警察はまだ突っ立っているだけ。そして、花楓の他にも、落ち着かない未来人の消息が不明。
 二人の安否が確認されていないのに、ただただ呆れ果てる。
 ―こんなのが、日本の治安を守っている奴らなのか。
 火事で危険だからって何もしない警察に苛立ちを隠せない。
「おばさん、俺に任せて!」
「こうくん・・・・・・」
 花楓の母親は光大を見上げる。
 母親に、任せろ、と言わんばかりの態度を光大は見せる。格好つけてなんてない。彼の幼馴染みを助けたいという、強い意志がそこにはあった。
 まずはこいつらどうにかしないと。そのためには・・・・・・。
 ―光大は背負っている竹刀を取り出し、
「やあぁぁぁっ!!」
 警察に向かって勢いよく光大は、竹刀を振り回す!
「うわぁぁっ!」
「こらっ! 危ないじゃないか!!」
 警察は避けながらも、光大を抑え込もうとする。しかし、光大は剣道で全国大会までいった実力を発揮し、隙を与えない。
「邪魔だぁっ!」
 勢いよく横へと振り払う!
「うわぁああぁ!!」
 警察たちは、らしからぬ悲鳴をあげながら、その勢いに押されたのか、尻餅をついてしまう。
「こ、コウ・・・・・・?」
 葦貴がようやく姿を現す。彼の体は汗でぐっしょりと濡れている。
「よっしー、走るぞ!」
「え、えぇっ!?」
 葦貴は、何も状況が理解できないまま、尻餅している警察たちの間を割って、光大に引っ張られるがまま、虎ロープを掻い潜る。
「悪いな」
 光大は警察に平謝りして、先へと進む。「ま、待ってよ~」と、葦貴も軽快に走り抜く彼に、必死について行った。

「カエ!?」
 家が燃えあがる中、二階建ての黄色いデザインで目立つ家―高峰家の玄関の前で彼女が倒れているところを光大は発見する。
 光大と葦貴は、すぐに駆けつける。光大はそっと抱き起す。
「カエ! しっかりしろ!」
 光大は彼女の名前を必死に呼ぶ。
「うっ・・・・・・」
 光大の声に応えるように、花楓はゆっくりと目を開ける。その瞳には心配そうな表情でこちらを見ている彼らをしっかりと映した。
「こ・・・うちゃん? よ・・・・・・くん?」
「よかった。心配したよ」
 葦貴が花楓に微笑みかける。
「カエ、つらいかもしれないが・・・・・・一体何があったんだ?」
 光大が訊ねる。
「・・・・・・いきなり、家が燃え始めて・・・・・・逃げ道を塞がれて・・・・・・このまま死んでしまうと思ったときに、二階の窓ガラスを割って女の子が突然入ってきて・・・・・・それからは、わから、ない・・・・・・お願い、こうちゃん・・・・・・その子をたすけ、て・・・・・・」
 彼女は、光大に懇願した後、二人が来て安堵したのか、目を閉じる。
「カ、カエ、お、おいっ!」
「大丈夫。気を失っているだけだよ」
「そ、そうか」
 光大は、葦貴の言葉に心を落ち着かせる。
 そして、燃え上る家の玄関を見つめる。
「よっしー、カエのこと頼めるか?」
「へ? いいけど、コウ、まさか―」
 ―そのまさかだ。幼馴染みの女の子の頼みを聞けないんじゃあ、男じゃねえ! それに俺は、あいつを―乙姫を助けたいんだ!
「はあぁぁぁっ!」
 光大はためらいもなく、燃え上る家の中へと飛び込んだ。