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太嫌兎村

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「この先に一体何があるのだろうか?」
 高見沢は胸をワクワクさせながら愛車を駆ける。
 そしてしばらく走った後に、また三叉路のある場所に行き当たってしまった。
 高見沢は邪魔臭そうに呟く。
「またかよ、今度は会社選びと一緒のようものかな。しかし俺の場合、選べるほど選択肢がなかったよなあ、まっいっか、えーい今度は左に行くぞ!」  

 ホント、気楽なやっちゃ!
 三叉路にぶち当たっては、まるで人生ゲームのようなものを想定して一人遊びを始めている。

 しばらく進むと、また三叉路にぶち当たった。
「うーん、今度の分かれ道は何かなあ。そうか、これこそは結婚の岐路。一生の伴侶選びと言うやつだな。これぞ人生で最も大事な選択、後々の幸不幸を決めてしまう。それは愛を貫いて一緒になるか、それともちょっと打算を入れての選択にするかの瀬戸際、ここは慎重にならなければならない。えーい、やっぱり最終結論はハズミとイキオイで行くしかない。 愛一筋の左だ!」
 訳のわからない独り言を吐いている。

 そして左に進路を取り、しばらく車を走らせていると、またまたの三叉路。
「もういい加減にしてくれよ。しかし今さら引き返せないし、何かを求めて前進あるのみか。いざ企業戦士よ、世界一を目指せ、そんなカラ元気で行くしかないか」
 こんな独り善がりなことを呟きながら、高見沢はさらに奥地へどんどんと入って行く。

 そして、こんな同様な岐路選択が、あと二、三回は続いたであろうか、高見沢はどこへ辿り着くのかその最終結果を知りたくて、さらにアクセルを踏み込むのだった。


作品名:太嫌兎村 作家名:鮎風 遊