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太嫌兎村

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「村長さん、有り難うございました。もう時間ですから引き上げます」
 高見沢は暇を告げた。

 しかし、桃花ウサギ村長は少し心配そうな表情で答える。
「戻り方わかりますか? 今度はここへ来た時の反対よ、来た時に右だったら今度は左、左だったら右にへと正確に進路を選んで、元の国道に戻って下さいね。それとよく注意してね、最初の三叉路は、絶対に右に行っちゃダメよ。間違えれば地獄村に落ちて釜茹でだから、気を付けてね」

「ああ国道への戻り方ね…、大丈夫、こんなこともあろうかと思って、来た道は岐路毎に右か左かを全部メモってありますから」
 高見沢は自信あり気。
「そうなの、割にしっかりしているのね。さすが百戦錬磨のオッチャンサラリーマンだわ」

 高見沢はこの辺が引き時かと思い、あっさりと挨拶する。
「はい、それでは―― ダイエット・ビレッジに ――、アディオス!」
 村長さんはそれに簡単に応える。
「グッドラック(Good Luck !)」

 こうして高見沢は、太嫌兎村からお暇するのだった。


作品名:太嫌兎村 作家名:鮎風 遊