小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

太嫌兎村

INDEX|31ページ/38ページ|

次のページ前のページ
 

「残念でした、高見沢さん、男の場合はね、それは単に――、スケベなだけよ。そう、卑猥な心を満たそうとする邪悪な欲だけなんよ。だから男は構造的に、女と深い恋愛関係の中にあっても、餃子とラーメンライスをガツガツと、腹一杯食べられる野蛮人種なの。だから、男には…、恋痩せダイエットが成り立たないのよ」 

 高見沢は「そうなのか」と呟き、肩を落とした。
 確かに男女の脳のメカニズムの違いは理解できた。しかし、やっぱり諦め切れない。
 しばらくの熟慮の末、高見沢は新たなる提案を申し出てみる。

「先生わかりました。ならば、自分のためのダイエットでなくっても結構です。夕月ウサ先生の恋痩せダイエットのために、ぜひとも貢献させて欲しいと思いますが…」
 夕月ウサちゃんはこんなアホな高見沢の提案を聞いて、目を丸くした。その後、きっちりと止めを指してくる。
「高見沢さん、はっきり言わせてもらいますよ。そのお年ではもう手遅れです。たとえこのコースで私のために頑張って頂いたとしても、高見沢さんは今も、そして未来も――、単なるオッサンなんですよ。だからね、決して私の身は焦げることはありません」 
 夕月ウサちゃんは学校の先生のような表情となり、明確に言い放ったのだった。

「あ〜あ、もうダイエットの希望を失った」
 高見沢は夕月ウサ先生に止めを刺されて、ひどく落胆。それを見ていた夕月ウサ先生、高見沢に優しく声を掛けてきてくれた。


作品名:太嫌兎村 作家名:鮎風 遊