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太嫌兎村

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「それじゃウサギのダンス、これどうお? 月に向かって一晩中ぴょんぴょん跳ねるのよ。これって脳を攪乱し柔らかくすることにもなるのよ。高見沢さん、最近脳がカチンと固まってきてるでしょ」   
「あのな、アンタ、俺のこと、ちょっとアホにしているんじゃない」
 高見沢はもう切れそう。

「なにさ、高見沢さんの御要望通り娯楽も盛り込んだプログラムを紹介して上げているのに、ダイエットは多少苦痛が伴うこともあるのよ。いいオッチャンが、――、ちょっとは辛抱しなさいよ」
 夕月ウサさんが可愛く怒り出した。

「はいはい、時には我慢するよ、だけど中級コースはちょっとお色気不足でパス。次の上級の究極コースを紹介してよ、……、お願い、バニーちゃん」
 高見沢は誠心誠意を込めて手を合わせる。
「仕方ないわね、こんな厚かましい生徒初めてだわ」
 夕月ウサちゃんは、もう諦め顔。 

 夕月ウサ先生は気持ちを入れ替えられたのか、きりっと背筋を伸ばされる。そして重みを付けて仰るのだ。
「それじゃ上級の究極コースよ、ようく聞いてちょうだい。それは別名――、【恋痩せ】コースとも言うのよ」


作品名:太嫌兎村 作家名:鮎風 遊