太嫌兎村
高見沢は「こりゃ、ちょっとヤッベー」と本能で感じ、「美味しそうだけど、先生、ちょっと遠慮させて」と作り笑顔をまじえながら断った。そして、高見沢は嫌悪感ありありで尋ねる。
「だけど、クローバーって…、ウサギの好物じゃないの?」
「そう正解よ。ここは太嫌兎村ですからね」
夕月ウサ先生は一方的に結論付けた。
「これが【選食】っていうことなのか、もう少し美味いものはないんかよ?」
高見沢は大変不服。
しかし、夕月ウサ先生は自信たっぷりの顔をして、まだ続ける。
「あとはキャロット葉シャリシャリサラダとか、いわゆるウサギ食がメインね」
高見沢はただただあきれ顔。それでもまだ興味はある。
「俺、実は人間なんですけど…、人が普通に食べて、ダイエットになるものないの?」
これに夕月ウサちゃん、ニッコリと。
「それじゃちょっとグレードを上げましょ。特別メニューの、こんにゃくチャーハン、これどうお?」
こんにゃくチャーハンとは、御飯の代わりにこんにゃくを焼き飯風に炒めたもの。もちろん低カロリーで、ダイエットに最適。
高見沢も一度食べたことがある。しかし、欠点がある。
とにかく、――、めっちゃ不味いのだ。