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太嫌兎村

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 夕月インストラクターは少しムッとし、「それじゃ、サンプル食を今から持ってきますから、まずはそれらを試食して下さい」と口調がきつい。
 それからの動きはまことにテキパキと。
 奥の部屋へと消え、すぐにニコニコしながら、両手に一杯の小皿を持って戻ってきたのだ。

 高見沢はそれらを見て、――、た・ま・げ・る。
「なんだよ、これ、一口の精進料理ばっかりじゃん。ええっと、これってただのお浸しだろ、何のお浸しなんだよ?」
 高見沢は不満のようだ。だが、夕月ウサ先生はシレッと澄まして答える。
「四つ葉のクローバーの…、お浸しよ」
「あのう、夕月ウサ先生、四つ葉のクローバーって、これだけ集めるの結構大変じゃないの?」
 高見沢はこんな反応するのが精一杯だった。

「そうよ、大変よ、ここまで集めてからお浸しにするの。そうね、最低三日はかかるかしら、その間は断食よ。それで苦労の後にフォーリーブズの幸運を食べるという執念プログラムなの、これって結構楽しそうでしょ。どうお? 高見沢さん、集めるところからトライしてみる?」

 夕月先生の笑顔に、段々と虐めの表情が滲んできている。


作品名:太嫌兎村 作家名:鮎風 遊