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太嫌兎村

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 しかし、夕月ウサ先生はこういうオッサンに止めを刺すのがうまい。
 関西弁で一発逆襲、――、「アホッ!」
 高見沢はこの逆襲で背筋が伸びた。そしてしばらく沈黙し、後は「チャイまっか、スンマヘン」と謝った。
 しかし、夕月ウサちゃんはさすがプロ。
 今度は捕まえた客は逃がさないぞと、反対に柔らかい口調で訊いてくる。
「高見沢さん、毎日のどんな食事してんの?」
 高見沢はまたこれに調子に乗って、「そりゃあ、食べ放題の飲み放題、居酒屋飽食サラリーマンなんだよなあ」と。

 しかし、この場の雰囲気からして、これはちょっとまずいかと思い、「はい先生、強く反省しています」と付け加えた。それを「ふんふん」と聞いていた夕月ウサ先生、この辺りでとおもむろに指導を始める。 
「ホントお馬鹿さんね、食事をちゃんと選びなさい。いいですか、ダイエットの初歩は、食事を選び抜いて楽しく食べるということですよ。つまり初級コースは、食を選ぶ【選食】よ、それをまず体験してみましょう」

 高見沢はそれを聞いて、「センショクって、食選びの【選食】だったのか、しかしそんなの理解してるぜ、ダイエットの基本中の基本だよ」と息巻いた。
 さらに先生を追い込むように尋ねた。
「だけど先生、問題は、どんな食事を選べば良いかですよ。それをさんてん、教えてチョンマゲ」

作品名:太嫌兎村 作家名:鮎風 遊