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太嫌兎村

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 されども高見沢には興味が急に湧いてきた。もう気持ちが止められない。
「一万円払って、何キロ痩せられるの?」と早速高見沢は訊いてみる。

「今日は、コースの紹介が主ですから、まああまり期待してもらっては困るけど…、半日村民で1キロ減量は保証しますよ」
 村長さんからきっぱりと答えが返ってきた。高見沢はとにかくこういう話しには応答が速い。

「マジッすか、半日で1キロも痩せられるんですか? それに夕月ウサちゃんが個人指導をしてくれはるんですね、いいじゃないの、…、村長さん、ぜひお願いします」
 高見沢の顔面から隠し切れない笑みがこぼれる。それに応えて、桃花ウサギ村長がすかさず大きな声を張り上げた。

「夕月ウサさーん! 下界からお客様お一人よ、半日村民でお願いね」

 そうなのだ。
 下界からっておっしゃってるが、こんな呼び掛けって、下界のどっかで、そう、どっかの夜のお店で、よく聞くような呼び掛けパターンではないか。 
 高見沢は単純なもので、それに心をほっとさせるのだった。

 下界、つまり俗世界育ちの高見沢にとっては、こんな呼び掛けパターンに少々馴染みがある。そのためか、緊張したこれまでの気持ちがほぐれ、一気に安心した。
 そこへ現れ出てきたのが、先程の夕月ウサちゃん。高見沢は思わず、「おっおー」と言葉を詰まらせた。


作品名:太嫌兎村 作家名:鮎風 遊