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太嫌兎村

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 桃花ウサギ村長さんはそれをしっかり聞いていた。そして目をキラキラと輝かせて、高見沢を説得し始める。
「高見沢さん、本当に痩せたいと思っていますか? もしそうだとしたら、太嫌兎村の半日村民になって、ダイエット体験してもらっても良いのですよ。費用はたったの1万円、インストラクターが付いての個人指導よ。そうね、先程応対した受付の夕月ウサちゃんに担当してもらうわ。いい子よ、好みでしょ。手取り足取りでの個人レッスン、きっと楽しくダイエットできるわ、――、どうしますか?」   

 桃花ウサギ村長は、そんなお誘いでどんどん押してくるのだ。
 高見沢は、こんな誘惑的な話しの展開にもう唖然とするしかない。

 察するに、ベッピン村長さんは太嫌兎村の村興しダイエット事業の親方。そして村役場に勤めるスリムでしなやかな女性達は、そのインストラクター(指導員)だということらしい。
 それで今回は、受付で優しく微笑んでくれていた夕月ウサちゃん。
 彼女がどうも個人指導をしてくれるというのだ。

 なにか卑猥(ひわい)な怪しさも感じられたが、とにかく高見沢の想像をすべて越えていた。


作品名:太嫌兎村 作家名:鮎風 遊