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太嫌兎村

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 さすがダイエット村の村長さん、スラッとスリムな体型をしている。
 高見沢はしばらく何も言葉を発することができず、ただポーとその姿に見取れるだけ。そしてやっと気を落ち着かせて、おもむろに口を開く。
「村長さん、失礼ですが、お年の方はそこそこのようにお見受けしますが、健康そうですね。 ここへ来る時に見た白ウサギなんかよりずっと色白で、可愛くて…、腰の辺りが、クビッと絞れてますよね」

 高見沢のなんと失礼、かつセクハラ的な挨拶だろうか。
 一体何が言いたいのかさっぱりわからない。多分脳が混乱しているのだろう。
 しかし、桃花ウサギ村長さんはうまく反応してくれる。
「まっ、お上手!」

 こんな合いの手は、かなりの人生経験を踏まないと出てこない。
 村長さんはさらに言ってのける。
「あの白ウサギたちね、この村の先住民たちなんですよ、もちろん私らちの方がずっとセクシーでしょ」

 高見沢はなるほどとわかったような気にはなったが、さっぱり理解できず再度質問をする。
「ちょっとお伺いしたいのですが、この太嫌兎村って、本当は何をされてるのですか?」
 村長さんはよりキリッとした美人顔となり、軽く答える。
「受付の夕月ウサちゃんが話していた通りよ、――、太るのが嫌な兎たちの村なの」


作品名:太嫌兎村 作家名:鮎風 遊