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太嫌兎村

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「そうお? だけど、マジよ」
 女性はあっさりと返し、ニッコリと笑う。
 高見沢は少しアホらしくなってきたが、「太るのが嫌なウサギの村って、どういう所なんですか?」と今度は突っ込んで訊いてみた。
 それに対し、女性は背筋をきりっと伸ばし言ってのけるのだ。
「この村は、一所懸命ダイエットをして、スリムなボディ作りをしている、太るのが嫌なウサギたち、つまりバニーたちが集う村なのですよ」 

 高見沢はこんな突拍子もない返答を聞いて、返す言葉を失う。そして独り言で、ぶつぶつと。
「それでわかったぞ、なぜここの役場の女性たちは、スリムでナイスバディばかりなのか、――、納得!」
 高見沢はこんな発見にただただ感動を覚えている。

「ところで高見沢さん、どのようにして、ここへ来られたのですか?」
女性はボーとしている高見沢に聞いてきた。
「いえちょっとね、気晴らしにと思って日本海に向かってドライブしてたのですが、その途中にね、国道から横へ反れる一本道があるのですよ、その道の先に何があるのか、急に確かめたくなりましてね」 

「御苦労様でした、だけどよくこれましたね」


作品名:太嫌兎村 作家名:鮎風 遊