時空を超えて言霊いくつか
祖母①
幼稚園生のあたしと
お父ちゃんとこのおばあちゃんと二人で写ってる写真が
あるんだけど
誰もが言うの、まあそっくり、って
そりゃないよ、ショックだったら
そりゃ色白だよ、あまりしわもなくてふっくら
でもお鼻がさあ、こんなに低いの
あたしもそうなのね、がっかりさあ
がっかりしたけど
すぐに受け入れた,諦めた
東(当時の町名)のおばあちゃんて、なんだか心が落ち着く
怒らないし、静かで、可愛がらないわけじゃなく、頭良さそう
それに面白い
沢庵の漬け物を手でさいて食べるとか
熱い湯気のたつお茶を、目の下にあてがって
何かを治療してた
ブドウを食べる時,あたしが皮だけ食べるので
まあここが一番おいしいのに,と身を食べてくれた
入れ歯をカタカタ言わせて
男の子をたくさんと女の子を二人生んだおばあちゃん
上の女の子は賢かったけど、少女のとき病死したって
末っ子の女の子は甘えんぼで
あたしの遊び相手にちょうどよかった(11歳年上)
オジサンの1人は2階から落ちて知能が遅れていた
そのオジサンに餅つきさせたら
杵をおばあちゃんの親指に打ち付けた
それで片手の親指の爪がないおばあちゃん
そこはつるつる丸い
あたしはいつもそこをくるりと撫でた、くるり
可哀想にさあ
作品名:時空を超えて言霊いくつか 作家名:木原東子