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マナビノ箱

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体育館で始業式が行われ、みんなが教室に戻ったとき、先生が前の席の男子を
黒板の前に呼んだ。
「このクラスに転校生です。名前は黒板にありますが・・・」
「てらかど けんじ!オレオレひろし」
いつも調子が良く、元気にふざけるひろしくんが声を上げた。
「はい、ひろしくん座って。そう、けんじくんです。お父さんの転勤でここに来ました。
ちょうど、2年生の初めからなので、席はあいうえお順に並んでいます。だから席が移動した子もありますが、みんな一緒にこれから頑張りましょう。よろしくお願いします」
「てらかど けんじです。よろしくおねがいします」
クラスのみんなが大きな声で「よろしくおねがいします」と言ったので、なおきくんもぼそぼそと口を動かした。
けんじくんが席に戻ると、かよこちゃんが振り向いてなおきくんに笑いかけた。
なおきくんは、やっぱりはにかんだ笑顔で俯いた。

それから、一ヶ月ほどが過ぎた。
かよこちゃんの横の(なおきくんにとっては)うらやましい男子けんじくんは、クラスの子にあちこち学校探検をしてもらって、学校にも慣れてきたようだ。
その間は、かよこちゃんと一緒にいるのは、授業中だけ。
なおきくんは、後ろの席からときどきかよこちゃんを見ていた。
髪を結んだゴムがかわいいなとでも思っていたのだろう。

作品名:マナビノ箱 作家名:甜茶