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近未来のある日

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 用件を終え、友人宅をあとにする。いちおう傘は持ってきていたものの、濡れるのもいやなので、早めの帰宅。
 家の前に、ロボットの姿はなかった。
 玄関のドアを開け、中に入る。うしろでドアの閉まる音がする。
「やけに静かだ」そう思った。
「ただいまー」
 居間にまで聞こえるように声を上げる。しかし、声が返ってくることはない。
 妻がいない。これは出かけている可能性を考えれば問題ない。しかし、ロボットがいないのはおかしい。ふと見回すと、私の携帯が、げた箱の上に置いてあるのを見つける。画面が光っているので、どうやら留守電のメッセージが入っているようだ。携帯を手に取り、留守電を再生した。
 私は家を飛びだした。雨が降り出していたが、濡れることを気にする余裕はなかった。留守電のメッセージはロボットのもので、内容を考えると、人間にはありえない落着きをはらった声だった。
「本日、奥様が交通事故に合われました。自動車に衝突されたことにより、意識不明の重体。医師の診断によれば、植物状態になられた可能性が高いとのことです。さらに今のところ、治す手立てはないそうです。このメッセージをお受け取りになられましたら、すぐに中央病院までお越しください。以上」
 走りながら、繰り返しメッセージを再生する。何度聴いたところで、メッセージの内容が変わることはなかった。
作品名:近未来のある日 作家名:浪戸 光