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『春の野にいでて若菜つみし頃』

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 しかし運命は常に非情だ。
 僕達は何度生まれ変わり、そして何度出会っても、二人で幸せに生きることは許されない。その理由はもう遥か昔のことなので記憶に定かではないが、何か神の逆鱗に触れるようなことをしたのだと思う。
 その時から僕達の小指の先は赤い糸で繋がれたものの、何度生まれ変わって出会っても、決して二人の幸せは与えられない。そう宿命づけられたのだった。
 どうせ出会っても幸せになれないのならいっそ出会わなければいいのに。もし出会っても互いに知らんぷりすればいいのに……とも思うが、僕達を繋いだ赤い糸はそれを許してはくれない。
 僕達は新たな生を受けてこの世に誕生した時には、互いの深い絆の記憶は無い。ところが一旦出会ってしまうと、過去の出会いの記憶が映画のように脳内に映し出され、それと同時に魂の奥深くから湧き起こってくる互いを求め合う気持ちはどうにも抑え難い衝動となって満ちてくるのだった。しかし、その後にやってくる悲惨な別れはいつも決まってやってきた。