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ここにも戦場があった

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やはりジイはあてにはならない。私は大きめの地雷のかけらを袋に入れ、撤退の続きに入った。

もう地雷は気にしないで、進むことにした。横からの攻撃にだけ注意して進んだ。この部屋を出る少し手前の地形が極端に狭小である。ここも注意しなければならない。ここには敵の空軍が配置されている。

ベッド横の床にあるジーンズやバッグをベッド上に積み上げ、通販で買ったらしいごみ箱に挟まっているCD付ラジオを引き抜こうとしたが、それは固く結ばれていて、無理に間を割くのは可哀想だと思ってそのまま横に移動させた。

だんだん問題の地点が近づいてくる。往きは集中力もあったので、無難に過ぎたのだが、先程の全面戦争状態でどうなっているか分からない。

また汗がにじみ出てきたが、腕で拭い、キッと前を睨んだ。ベッドの足元部分にある支柱にバッグやどこかで買った民芸品がぶら下がっている。特に出入り口そばの“針千本”には気をつけなければならない。プヨプヨした私の腕は格好の獲物に違いないから。

ベッドに下がっているバッグを突き出た腹でこすりながら、一歩進む。反対側の開いたままの洋服ダンスも気をつけなければならない。前に開いた戸の角に思いきり額をぶつけてしまったことがある。出血もして、あげくの果てに娘には勝手に部屋に入るからだと言われ、私は部屋をきちんと片づけなさいとは言ったが、それは蛙の面にしょんべん、馬に念仏なのはあきらかだった。勝手に入るも何も、戸は年中開いていて、廊下と部屋の区切りも分からない状態であるのだが。


作品名:ここにも戦場があった 作家名:伊達梁川