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ここにも戦場があった

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今日は無事に娘の部屋まで来たのだが、あと少しでベランダへの戸が開けられるという所でCDの山を崩してしまったのだった。

ええい、それにしてもうちの女はどうして物を貯めこむのか、そして整理ができないのか。生理があっても整理ができない。

ケースからはみ出たCDをしまい込みながら、これが崩れてきた所を見渡す。これは机の上に積んであったものを崩してしまったが、すでに机の上には、雑誌、人形、バッグなどが場所取りゲームに勝利していて、落ちてしまったCDを置く場所は無かった。多分私がCDの山を崩してしまった時に、直ぐに「待ってました」とばかりに、積み上げていた雑誌が占領を開始したらしく、雑誌の乱れた山を積み上げ直していると、その下からCDの生き残りが顔を出した。

CDの山を築き直して、辺りをみると、ベッドの上、下、机の下、窓辺にある棚にもに何かしら物がある。泥棒でもこんなに散らかせまい。これは一種の泥棒よけなのかと思ってしまう。

これで果たして必要なものがすぐに取り出せるのだろうか。もちろん床だって真っ直ぐには歩けない。物をよけながら、地雷のような危険物を踏まないように、細心の注意を払わなくてはならない。本当に毎日がやせる思いだ。特に娘の部屋に入る時は足元が要注意である。地雷原があるのだ。それは画鋲だったり、Wクリップや開いたままの鋏だったりするのだが、巧妙にハンカチやチラシの下に隠れている。

前に不用意に裸足で入ってしまい、画鋲を足に刺してしまったことがある。以来スリッパを履いて入るのだが、今回は地雷に気を取られすぎて、脇に迫った戦車に気づかなかったようなものだった。


作品名:ここにも戦場があった 作家名:伊達梁川