夏色のひみつ
次の日の朝。わたしは山の上の道で、また佐藤さんがくるのをまった。
「あれ? きみ。だいじょうぶなの?」
佐藤さんはわたしを見て、目を丸くした。
「ごめんなさい。うそなんです。なっちゃんと佐藤さんをくっつけるための」
もしかしたら佐藤さんは気分を悪くするかもしれないと思ったけど、正直に話した。
「そうかあ。まいったなあ」
佐藤さんは困ったように笑った。
「ごめんなさい」
「いや。あやまるのはぼくの方だ」
「え?」
ガードレールに腰かけて、佐藤さんは照れくさそうに言った。
「せっかくそういうおぜんだてしてくれたのに、ぼくはだらしなくてさ……」
「どういうこと?」
「実はね、ご飯をご馳走になったお礼を言うときに、チャンスだと思って告白したんだ」
「それで?」
「みごとにふられちゃったよ」
そうして佐藤さんはふかーいため息をついた。