夏色のひみつ
「なに?」
拾い上げて見ると、写真だった。
「赤ちゃん……」
そこに写っているのは、若い夫婦とふたりの赤ちゃんだった。
「ふたごよね……。それにこの人」
女の人はまちがいなくなっちゃんだ。
わたしは頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなった。心臓の音がやけに耳に響く。息が苦しい。いたたまれなくなって、部屋を飛び出した。
外に行って井戸の水を汲むと、ばしゃばしゃと顔にかけた。
「ふう」
水の冷たさで少し落ち着いたわたしは、大きなため息をつくと、その場にしゃがみ込んだ。
どういうこと?
なっちゃんは結婚していたの?
ゆきちゃんたちが先生から聞いた話は、婚約者が死んだっていうことのはず。
あのふたごはだれ?
頭の中でいろんな疑問がぐるぐる渦巻いた。
「ねえ」
いつのまにかそばにこがね丸が来ていた。物置の軒下の日陰にいて、ゆらゆらとかげろうみたいに見える。
「何を見たの?」
こがね丸がわたしに聞いた。
「しらない。それよりあの部屋なんとかしてよ」
わたしはそっけなく答えた。
「もう、元にもどしたよ」
「そ」
それっきりふたりとも黙り込んだ。わかったことはひとつ。
見てはいけないものを見た……ということだった。