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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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夏色のひみつ

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 夕方まで昼寝をして目が覚めたら、身体中が熱くてほてっている。それに頭もがんがん痛い。日やけのせいばかりじゃなさそうで、おばあちゃんにいったら、氷嚢を当ててくれた。
「いきなり海で泳いだから、日に通されちゃったんだろう。ゆっくりお休み」
 おばあちゃんがいう、日に通されたっていうのは、熱中症のことをいってるみたい。この症状はたぶんそうだと思う。
 仕事から帰ってきたなっちゃんも心配してくれて、水分補給が大事だからと、スポーツドリンクをいっぱい用意してくれた。
 その晩、なっちゃんはかなり遅い時間までわたしのそばについていてくれた。意識がもうろうとして、よく覚えていないんだけど、苦しくて時々目を覚ますと、なっちゃんの顔が見えたから。
 なっちゃんはタオルで汗をふいてくれたり、すぐに氷が溶けちゃう氷嚢を取り替えたりしてくれた。
「まゆ。喉乾いたでしょ」
 何度目かに目が覚めたとき、だいぶ意識がはっきりしてきた。
「うん」
 なっちゃんは吸い飲みでわたしにスポーツドリンクを飲ませてくれた。
「ごめんね。なっちゃん。さっそく迷惑かけちゃった」
「子どもの時わたしもそうだった。夏休みの最初の日、一日中遊び回っていて、あとから熱出して寝込んだの。そのたびに春ちゃんがそばにいてくれたわ」
「お母さんが?」
「うん。世話が焼ける子だって。だからまゆがわたしに迷惑かけたから、おあいこ」
 にっこり笑ったなっちゃんの目元は、お母さんにそっくりだ。
「笑う元気が出たから、だいじょうぶね。寝間着とりかえようか」
 起きあがろうとするとふらふらしたけど、寝間着を着替えてすっきりした。
「じゃあ、何かあったら壁を叩いてね」
 なっちゃんは自分の部屋に帰っていった。隣の部屋になっちゃんがいると思うと安心して、またわたしは眠りについた。

作品名:夏色のひみつ 作家名:せき あゆみ