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ペッパーミント

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少し、その時の様子を回想してみよう。
小春日和の穏やかな日。
BGMには『コスモス』は流れていなかったが、ふたりで立ち寄った喫茶店。
昨日までの冷え込みのせいで、エアコンの温度設定がそのままなのだろう。
少々暑い。ふたりは、冷たい飲み物をオーダーしたのだが、会話に夢中になっていたせいで思わず腕まくり。で、「あれ?それ?」ってモモコさんが気が付いた。
話していた話題は、ブチッと音を立てるくらい簡単に途切れ、腕時計の話になった。
「どうして、モモコが緑色なの?」ミドリさんは、口を尖らす。
「どうしてって、気に入ったから。あ、これグリーン、ビリジアン、黄緑でも草色でもいいよ。ミドリの見たとおりの色で」どこまでも平和主義だ。
「私のは、赤でも朱色でも紅色でも桜色でも間違ってもピンクじゃないわ。桃色」
モモコさんは、言葉を飲み込んだ。
ミドリさんは、口を尖らせたまま、頬をそっと染め、俯いた。
「色に迷ったとき、モモコのことが浮かんだから。それにこの色綺麗でしょ」
なんとなくふたりは微笑んだ。
愛が芽生えたわけではないが、惹かれるものがあったに違いない。
ふたりが会うときは、はめてくるようになった。けして強制ではなく。

作品名:ペッパーミント 作家名:甜茶