錯覚
出版の誘い
添削をしてくれると言うので、蓮子は依頼した。
間もなく
あなたの作品は素晴らしい作品です。
つきましては多少の手直しをして、出版してみませんか。
全国の書店にあなたの本が並びます。
また、国会図書館にも納められますよ。
費用は70万円くらい掛かりますが、売れた分の印税が入ります。
売れないとしても知人の方親戚の方に配布して記念とする事も思い出になるでしょう。
そんな文面に蓮子はその気になった。
きっと自分の作品は売れる。
もう確信していた。
費用は大学の国家試験と偽って親から出させた。
1千部の出版で半年後に売れたのは100部足らずであった。