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予感 -糸-

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結局、ケトルで湯を沸かし、インスタントの珈琲を作った。
狭いカウンターテーブル用に買った折りたたみ式の椅子に腰掛け、珈琲を啜った。
皿に出してあったクロワッサンをかじった。サクッとした口当たり。小気味良い音が、ひとりの空間に新しい音を作った。指先にくっついた欠片を口先で舐め取り、また珈琲を啜った。カップを握る手から伝わる温度に 心も暖かく回復するようだった。
(今日は、楽しかった?うん、それなりにね……)心で呟いた。

翌日、彼女は、早朝に届いたメールで起こされた。そして、久し振りの気の置けない女友だちからの誘いに気を良くして出かけた。
女友だちお勧めの食事をしたり、近況の話をしたり、店での見るだけの冷やかしも 昨日と違って楽しかった。

作品名:予感 -糸- 作家名:甜茶