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トリガーハッピークリスマス

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「あはは、なんのことやら」
 そんなことを言われても、普通そうするし。売人の教育とか情報統制とか、ズサン過ぎんだよ。お前の組は。
「お前、何者なのさ?」
 さわっちはそう問い掛ける。
「俺? 俺っちはこの研究所で作られた薬を売り捌く売人の元締めさ。この子にはね、秋口にその売人の一人を潰されてね。前々から目を付けてたのさ」
 不運だ。これはもう、不運以外の何物でもない。
「まあ、このまま静かに生きてくれるようだったら見逃したけど、今日のこのザマよ。こりゃもう、落とし前付けるしかないよね? どうせおじさんは死ぬのは確定だし、ここで死のうが生き残ろうが関係ないのよ。おじさんも落とし前つけるから、君も付けないと」
 そう言って、男は私の懐に差してある拳銃に目を付ける。
「こりゃ趣味のいい拳銃だな。貰っとくよ」
 そう言って、男はその拳銃を抜いて、私に突きつける。
「チョッキ着てても、この距離から撃たれたら死ぬよ。俺、上手いのよ、結構な人数撃ってるからね。人が死ぬ距離ってのは大体心得ていんの。この口径なら、この距離で十分さね」
 それはあまり知りたくない類の豆知識だ。
「この辺でもういいだろう。銃を構え続けるにはおじさんはもう歳だ。腕が疲れてきたよ」
「もうちょいがんばらない?」
「おじさんに無理させんじゃないよ、若いんだから、諦める時はすぱっと諦めな」
 ――銃声が夜空を切り裂いた。