トリガーハッピークリスマス
ヤクザ寄りのシティーハンターって……それは長生きできそうにない。
「大丈夫大丈夫。福利厚生危険手当もばっちり付くから。今のご時世、こんなホワイトカラーな勤め先もないよ?」
その仕事内容がブラック過ぎんだろ。
「まあ、バイトさんの青田刈りはさておき、とりあえずは今回のターゲットネ」
たださんは写真を一枚、机の上に置く。
「ここ、どこ?」
どうみてもただの集落だ。真新しい建物も多いが、何の変哲もないただの集落だ。
「それがな。最近この辺に根付き始めた大物マフィアが東の山周辺の林に集落を拠点として買い取ったわけよ。それと、玉兎研って都市伝説、知ってる?」
またその話か。嫌でも知ってる。
「この集落はその研究室の表向きの顔。これ、知る人ぞ知る情報ね」
できれば知りたくなかった情報だ。
「最近うちのシマを荒らしちゃって、そろそろ片付けなくちゃいけないと思ってたのよ」
「シマってっ! シマって言っちゃったよこの人っ! もうシティハンターじゃなくて龍が如くだよっ!」
「そのうちバイオハザードになっちゃったりね、科学者が登場予定だし」
さわっち、それ、笑えない。
「さてさて、ミーティングも大体終わったし、とりま殴り込みと行きますか。決行は明日、クリスマス前日っ! 我らクリスマス戦線は故郷に悪い薬をばら撒くブラックサンタを狩るサンタ狩り部隊となるのだっ!」
とりまとかサンタ狩りとか使っても、結局はカチコミには変わらない。
こうして皮肉にも、空白だったクリスマスイブの予定表には、どす黒い色のハートマークが付くのであった。そのハートマークが何を表すのかは、言わなくてもいいだろう。
作品名:トリガーハッピークリスマス 作家名:最中の中