バツイチの娘。~未成年のあたし~
同級生との【当たり前】の誤差を感じた、小学生の生意気なガキ。
小学校入学。幼稚園で一番仲が良くて同じ【バツイチ】の娘。だった友だちは、
あたしとは違う小学校へ入学した。
入学前は、早めに祖母に買ってもらった赤いランドセルに、
小学生となる【おとな】に近づける期待に満ち溢れながら、
入学式までそのランドセルと毎晩、ともに過ごした。
ランドセルが愛くるしくて、一緒の布団に入って、
入学を待ち望んでいた。
しかし、入学式から同級生との違和感を感じとってしまった。
『なにかが違う。あたしが思い描いていた居場所じゃない。』
『皆(同級生)幼稚っぽいな』
そう感じた。
案の定、同級生とはうまく人間関係が築けなかった。
【当たり前】だと思っていた母とあたしの生活。
【当たり前】じゃないと気づいていた幼稚園児のあたしは、
あたしの家庭環境は【当たり前】じゃないと確信に変わった。
『同級生にはお父さん、お母さん、きょうだいがいるんだ』
疎外感を感じた。
社交場では通用していた、あたしの存在は
この場所では通用しない。
『誰もあたしを見てくれない。誰もあたしを信じてくれない』
この頃から、あたしの存在意義がわからなくなっていた。
そして、担任の先生すら【バツイチの娘。】とみるようになった。
顔色でわかるもの。【おとな】って。
『先生、あたしのこと好きじゃない、気に食わないって思ってるってわかるよ』
決定打は、とある漢字テストの授業。
なぜかあたしだけ、掃除箱まで席を強制的に移動させられた。
掃除箱?教室の一番後ろ。
屈辱的だった。けれど、ヘラヘラしていた。
『負けるものか』
小学校というのは、集団登下校が強制的で、
その段階で、あたしは集団行動が苦手だった。
上級生が先頭で登校...
あたしの脳内に記憶がない。
始業時間、ギリギリに行っていたのだろう。
下校は、まっすぐ家には帰らない。
学童に行っていたから。
その学童でさえも、ちくいち学校での様子を聞かれる、
母からの要望なんていうのが気に食わなかった。
ここでも集団行動。
『嫌だな...』
常々、思っていた。
『決めた。あたし、学童辞める!!!』
【バツイチの母】に伝えるとすんなり、首を縦に頷いた。
『やったー、これで集団行動からも解放される。晴れてのカギっ子だ』
解放感。
誰にも干渉されず、自分のすきなことができる。
と小学2年生でカギっ子のデビューを果たす。
もちろん【バツイチの母】の前では、いい子ちゃんを演じていた。
作品名:バツイチの娘。~未成年のあたし~ 作家名:山本 かの子(偽名)