バツイチの娘。~未成年のあたし~
奈落の底に落ちた、【バツイチの母と娘。】
『失業した』
【バツイチの母】がそう云った。
ちょうどあたしが受験生の時。
【バツイチの母】は無職になった。
明るかった家の雰囲気が、まるで夜の樹海のような暗い闇につつまれていた。
今までの【バツイチの母】からは想像できないくらい、
気力が感じられなかった。
あたしは受験と大げさに云っているが、
私立の推薦が決まっていた。
その高校には福祉コースがあって、
偏差値が低いあたしにはちょうどよかった。
受験勉強をしないでいいあたしは、
先輩とまた遊びはじめることが多くなった。
見かねた【バツイチの母】の雷があたしに落ちた。
『いい加減にしなさい!!』
と勉強机の教科書を倒され、蹴り、胸ぐらをつかまれた。
『お母さん、自分が仕事していないから八つ当たりやめてくれる?』
と内心思っていた。冷めたガキだった。
作品名:バツイチの娘。~未成年のあたし~ 作家名:山本 かの子(偽名)