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カナカナリンリンリン 第二部(完結)

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バスの時間に合わせて午後7時頃に、手を振る妻に手をあげて病院を出た。バス停には誰もいないことが多い。暗い山道のカーブを曲がって近づいてくるヘッドライトで、乗用車かバスかが分かった。通る車の数は少なく、薄暗いバス停で暗い中からわき出るように現れるヘッドライトを見ていると、私は何十年か前の時代にいるのではとの思いに駆られた。暗い道を走って近づいてくるバスの車内はまぶしいほど明るく見える。薄暗いバス停から私は救われたような気分になって、空いたバスの椅子に座った。次第に行き交う車が多くなって、商店街に入り、駅に着く。これから電車を乗り継いで夜11時頃に家に着くのだった。

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ズボンはそう急には乾かない。身につけているトランクスは体温によって乾いているようだ。もう少し待ってみようかと、リュックから文庫本を出して読み始めた。目は文字を追ってはいるが、頭に入っていない。夏なのに冬のあの日を思い出す。

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