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ユキヤナギ

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トイレに立って、顔を洗い、少し酔いが醒めた由紀は明日も休みだし、S君をさそってみようと決心した。お酒を飲まなかった友人の車に乗せてもらう相談をしているらしい所で、私はS君に公園に行きましょうと誘った。S君は友人の顔をちらっと見てから「他に誰か行くの?」と聞いたのは、友人の手前、そう言ったのだろうと自分勝手に解釈し、「洋子ちゃんに聞いてみる。あとで電話するね」と言ってその場を去った。最初から二人で行きたいと思っていたので、洋子ちゃんには何も連絡はしなかった。

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由紀は少しドキドキしながら呼び出し音を聞いている。思いの外親しげなS君の声を聞いて落ち着いてきた。

「あのね、洋子ちゃんに聞いたら、予定があるからダメだって。私一人だけど公園に行く?」
自分でも少し媚びたような言い方だなあと思いながら由紀はS君の返事を待った。

「うん」と答えるのを聞いて、嬉しくなった由紀は気が変わらぬうちにとばかり、既に考えてあった待ち合わせ時間と場所を伝えて電話を切った。電話を切ってからもう少し喋りたかったなあと思ったが、明日逢えるのだからとわくわくした思いで寝床に入った。最近言ったことの無かった「おやすみなさい」とS君に向けて小声で言って、少し恥ずかしくなった。


作品名:ユキヤナギ 作家名:伊達梁川