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ユキヤナギ

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私は由紀の電話番号を知らなかった。親戚のやっている美容院の2階に住んでいるとだけ聞いていた。何度か会いたいとおもうこともあったが、次第に時々思い出すだけになった。

半年を過ぎた頃、友人から由紀が結婚したことを知らされた。私は、えっ!と思ったが、詳しく聞こうとは思わなかった。由紀は、結婚のふんぎりをつけるために私と公園で一日を過ごしたのだろうか。それとも単なる気まぐれだったのかもしれない。と私は思いながら、だんだん思い出すこともなくなっていった。

その後、由紀の結婚相手は親戚の勧める相手で、子供を三人産んだと聞いた。自分でも意外なように、結婚したと聞いた時は、そうかあと思ったが、しかし子供を産んだということに、軽い嫉妬を覚えてしまい、私は自分の感情に驚いていた。

そして今、私はあの雪ヤナギをもう一度見ようと公園内を歩いている。変わってしまった所と変わらない所、やはり色々な花が咲いている。

もうかなり歩いたが、あの古墳のような小山は見つからない。私はだんだんと自信を無くして、もう止めようかと思ったり、今日わざわざ来たのだからと思ったりしながら歩いた。

休憩所で一休みしながら、私はやはり無理に探すのはやめようと決心した。自分の頭の中の風景より、実際の風景が良いことは無いだろうと思ったからだ。


まあ、そんなに悪い想い出でもないか、とつぶやいて私は公園の出口に向かって歩き出した。


作品名:ユキヤナギ 作家名:伊達梁川