愛の深度計
榊原はそれに押されてか姿勢を正す。
「そのビジネス・パ−トナ−って、私に出資しろということですか?」
高見沢は首を横に振った。
「そりゃ出資してくれたら、一番ありがたいけど …
榊原への期待はちょっと違うんだよ」
「そしたら、何をしたら良いのですか?」
高見沢には話して良いものかと若干の躊躇がある。
しかし、やっぱり口にしてしまう。
「簡単なことだよ、榊原のその悩める脳を時々貸して欲しいんだよ、
ちょっと調べてみたいことが、やっぱり出て来るだろ、
そんな時に、
ちょっと電流流したり、サンプリングさせてもらったり … したいだけだよ」
「高見沢さん、それって私にモルモットか猿になれということですか?」
榊原の口調がきつくなる。
「ああ、ちょっとね、でもなあ …
猿でも出来てるんだぜ、君のような優秀なホモサピエンスだったら簡単なことだよ」
高見沢は熱意一杯に答えた。
榊原は「このオッサン、何考えてやんの」という風な顔をしている。
そしてここは冷静に質問を変える。
「高見沢さん、じゃあ、ビジネスとして目処はあるのですか?」
「そこんとこは自信あるよ、まずは市場のニ−ズだけど、例えばだぜ、榊原の奥さんへの愛が5つのハ−トマ−クだと言い張っても、最終的には信用しないと思うよ」
「えっ、そうですか?」と、榊原が急に自信なさそうにしている。
しかし、高見沢はそんな事を気にも留めていない。