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新月の夜に

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二週間が過ぎた。
明日は、約束の日だ。
日頃は適当にしていた家事を一生懸命した。
その熱中する時間は、じっと男のことを考えられた。
僅かながら、鼓動を感じる。どきどきしていた。
体が火照る気がした。
大きく何度も深呼吸をしては気持ちを静めた。
夜、すこしばかり整頓された部屋で好物の並んだ食卓に夫はビールを一本多く飲んだ。
いつもより早めに就寝した夫は、いつもよりいびきをかいていた。
女は、テレビも消えた部屋で後片付けをして、風呂に入った。
いびきは、聞こえるものの静かな部屋で眠れないまま布団に入った。
明かりを落とした部屋の天井に男を思い浮かべる。
目を閉じても消えないその姿に口元が微笑む。

作品名:新月の夜に 作家名:甜茶